権力者の自覚……その2

権力者は、愚者を愛玩するものです。それでも、中間権力者は、自己の地位を維持または向上させねばなりません。したがって、その範囲で、優秀な者を子分にしようとします。

本願寺教団の門主天皇のような最終権力者は、自己の地位の今以上の向上を考える余地はありません。教団や国家が転覆すると、門主天皇はその地位を失いますが、東本願寺門首のように地位を喪失する機会はめったにあるものではありません。

門主天皇に技量のあるときは、それなりに問題はないのですが、技量を欠くときは悲劇です。象徴門主や象徴天皇が、歴史的にもしっくりし危険がないと思われます。明治維新のときの西洋の植民地にされたかもしてない大変動期には、権力の源泉にする意義もあるでしょうが、成熟期(安定期)には、玉手箱(注1)のない門主、政治に関わらない天皇がよいと思います。


注1:浄土真宗本願寺派(西本願寺)の宗会(宗派の国会)で総長(宗派の首相)を選出する時に門主が作成した2から3名のリストをいれた箱で、宗会はこのリストの中から総長を選出する。



権力者の自覚……その1