靖国神社と本願寺について……政治結社会長との対話

政治結社の会長から、靖国本願寺の抗争について本願寺と話し合いをしたいが、「無駄」と思うかとの質問を受けました。インターネットで調べると実在の団体であったので、私の考えをお伝えしました。私は真剣に返事を認めましたので、大方のご批判をいただきたいと存じます。

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                                            平成17年10月27日
政治結社 大日本清導会総本部
会長 百武次郎様
                                        浄土真宗本願寺派教西寺
                                        住職 武田勝

結論から申し上げますと、どのような思想・信条の者であれお互いに議論あるいは論争を行うことは大切であると思います。しかし、ご質問の靖国問題については、議論が噛み合わないと思います。そういう意味では、話し合いは「無駄」です。浄土真宗本願寺派の僧侶である私は日頃から本願寺の宗務員の空理空論を批判していますので、この点からはあなた様が本願寺に話し合いを申し込まれるのは有意義と存じます。

以下若干私の意見を述べます。メールをいただいたということは、私のホームページやブログをお読みいただいているからだと思いますが、私の考えは浄土真宗本願寺派西本願寺)の“公式見解”とは異なっています。小泉首相靖国神社参拝に対する抗議する宗派の“公式見解” http://www.hongwanji.or.jp/2005/info2005/20051017_info.htmは、必ずしも宗門全体に共有されてはいません。

ご承知のように、明治時代の廃仏毀釈で、権力的に神仏分離をいたしました。下世話な表現をすれば、仏教僧侶にとって国家権力と結託する平田神道の影響を受けた神道の一派である国家神道からの縁切状であり喧嘩でした。仏教僧侶である浄土真宗の僧侶が、宗教的信条の発露として靖国に参拝することはまずないと思います。靖国神社がまじめに宗教的に軍籍にあった戦没者を追悼されていれば、靖国神社の神官(官は国の役人という意味ですが、神道の宗教者の総称を知りませんので仮にこの言葉を使用します。「禰宜」は宮司・神主を含む総称と考えていいのでしょうか。僧侶に対応する言葉は何なのでしょうか)は、浄土真宗でもおこなっています戦没者(おそらく原爆被害者等も広く包含しています。少なくとも広島では原爆の犠牲者を包含しています)の追弔法要に参拝しないでしょう。これを「靖国本願寺の抗争」とは、浄土真宗の多くの僧侶は捉えていません。私を含めて浄土真宗の僧侶は、靖国神社が現在靖国にまつられている御霊を追悼されることそのものに異議を言ってはいません。現代では、宗教戦争をする浄土真宗の僧侶はいません。

本願寺の基幹運動に多くの浄土真宗の僧侶は疑問を持っていました。その支持を背景に武野以徳前総局は、基幹運動組織の改組をいたしました。上述の不二川公勝現総局の抗議は、非常に形式的であると私は考えています。

過去何千年も人類は戦いをしてきました。現在も軍隊なくして地球の民族等のグループが生存できるか。私は社会党の土井たかこ元党首を強く批判しています。北朝鮮の拉致を否定していた彼女は、北朝鮮自身が拉致行為を認めた後に、北朝鮮の拉致についてとってきた彼女および社会党の言動を明確な言葉で総括していないからです。彼女は評論家ではありません。野党第一党の党首という非常に責任のある政治家だったのです。戦国時代、日本は世界有数の鉄砲所有国でした。そのお蔭でヨーロッパの植民地になることを免れました。明治時代も富国強兵政策によってヨーロッパの植民地にならずにすみました。明治時代以降、多くの過ちもしてきましたが、私はヨーロッパの植民地あるいは奴隷になることが良かったとは思えません。現在の中国や韓国は、近代以降の日本のヨーロッパに対して独立を守った恩恵のうえにその存在が確保されました。

私は宗教と政治は不可分だと考えております。国家権力は、特定の宗派と手を組んではならない。しかし現実の宗教は、汎宗派としては存在し得ない、特定の宗派としてのみ存在します。この綱渡りを国家権力に求めたのが憲法政教分離です。本願寺でも右翼でも、単純な原理主義は威勢がよいと思いますが、道を誤ります。

私は、光と影のない本願寺基幹運動や右翼の天皇崇拝に疑問を持っております。光と影のない人間存在は危うい、民族は危ういと思います。あなた様が本願寺と話し合いをされ、双方が光と影をもった陰影のある思想を持つことになれば、日本を救うことができます。

以上、あくまで私の個人的考えを述べました。


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